「ジュースでも飲む?」
公園に着いて、さっきのミスを取り戻したくて早速そういうと青山さんはきらきらの笑顔で頷く。 なにがいい、そう聞くと紅茶花伝がいいなあと青山さんは小さくいった。 「じゃあ買ってくるね、」 傍にあった自動販売機にいくと、紅茶花伝には種類が2つあった。 れもねーど? とみるくてぃー、があってどっちがいいのか分からなくてとりあえず僕は2つ買い、 ベンチに座らせた青山さんの元に駆ける。 「青山さん、どっちがいい?」 「どっちでもいいよ、あ、あと」 ジュースを差し出しながらん? と青山さんを見ると青山さんがにっこり笑った。 青山さんは足をぶらぶらさせながら言った。 「ユキでいい」 きっとぼくは今、口が開いてとてつもなくかっこ悪い。 でも、その青山さんの言葉がぼくの頭の中を支配して、ぐるぐる回って、もうそれ以外見えなくなって、 それ以外考えられなくなるぐらい青山さんの言葉が胸に響いて。どきどきが止まらなかった。 数秒して、ぼくは深呼吸と瞬きを繰り返して、「はい」と声に出した。 のどがからからに乾いていて、飲み物で潤そうと慌ててジュースを出す。 「ど、どっちがおいしいのかぼく分かんないから、うん、だからその、」 「あはは。じゃあ……んっとレモネードの方ちょうだい」 青……ユキ……やっぱり駄目だ、青山さんがにこりと笑って、レモネードを取った。 ペットボトルのふたをゆっくりと開ける青山さん(やっぱこれがいいや)の横顔に見とれてしまう。 その瞳に吸い込まれそうなぐらいぼくは青山さんを見ていた。 「ん? 飲まないの?」 いきなりこっちを見て、ぼくの持ってたジュースを指差す。 「あっ! はい、飲みます!」 びっくりしてときめいて、ぼくはジュースを飲みながら青山さんの横顔を盗み見する。 静かなまるで2人きりの空間が、ロマンチックだった。 「い、井上くん!」 「え?」 青山さんがびっくりした顔でこっちを見ていた。 青山さんの視線の先を見ると、ジュースが零れてぼくの服はびしょ濡れだった。なんで気付かなかったんだ、! 「これで拭いて?」 青山さんがポケットから出した綺麗なハンカチをぼくに握らせる。 薄ピンクのふわふわのハンカチ、いい感じの感触。 「あ、駄目です、そんな綺麗なハンカチ……」 「いいのいいの。洗いに行ったら?」 「じゃ、じゃあトイレ行ってくる」 青山さんが笑顔で手を振ってくるのを見ながらぼくはトイレに駆けた。 期待してもいい、? なんて、 ←BACK NEXT→ |