アオの迷子。




 次の日の、月曜日の、朝。

「どーだったハルキ!」
「ハルキ!」

 家を出て、ぼくの顔のすぐ前でいわれた言葉。 しかも、ヒカルとシュン2人から同時にだ。びっくりしすぎて、心臓が飛び出るかと思った。

「な……なんだよ2人とも」
「いや、青山とはどーなった? て」
「ん? どーなの?」

 ヒカルが寄ってきて、その後ににやりと笑ってシュンが詰め寄ってくる。 なんでシュンが知ってるんだって言おうと思ったけど、 まあヒカルが言ったんだろうな、と数秒後に理解したぼくは質問を飲み込んだ。

「どうって……ケ、ケーキを頂きまして……」

 おどおどというぼくの言葉を、ふんふんとかいってにやにや笑って聞く2人。

「それから、その。今度会う約束も、その……」
 それだけいうとぼくはうつむき、2人はやったじゃん! と騒ぎ立てた。 ぼくは2人にはさまれて2人から肘つつき攻撃をされる。
「やるなハルキー」
「べ、別に……っていうか、ヒカルこそ、向井さんはどしたの!」

 そういうと、ヒカルは一瞬だけ、笑った顔をひきつらせた。けど、次の瞬間にはまたいつものように笑った。

「持ち帰ったぜ」
 きらーんとか、効果音をつけながら言うヒカルの言葉を信じる人は、多分1人もいない。 ほらまた。ヒカルはいつだってぼくたちに相談なんてしてくれない。

 だらだらと3人で昨日見たバラエティ番組のこと、顔はぶさいくでも 胸があればいいっていうヒカルのくだらない女語りとか 話しながら歩いてると、あっという間に学校に着く。 教室のドアを開けると、数人におはようと声をかけられる。 それに適当に返しながら自分の机にかばんを置き、それからヒカルの机の周りに行く。いつも通りだった。

「なあなあ。北山の筆箱、あの柄なんだよ、きもちわりー。髑髏とかマジありえね……」

 そんな事をヒカルが大きい声で話すと、なぜかぼくとシュンまで北山さんに怒られた
(ちなみに北山さんは女子なんだけど、とてつもなく怖い。 いわゆるギャル系で、すごい派手なメイクをした大きい目でこっちを睨んでくる。 ぼくら3人組と話す事が多いけど、仲良くはしたくない。特技は空手)。




いつものが訪れる。




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